第60話

言葉にされたら思い当たることはあって、気づかないようにしていた。


ただの人助けだと思って最初は提案した偽恋人…

いつか茉佑は家を出ていくお金だけの関係。


こんなの良いわけない。


ただ不意に感じる茉佑と俺がお互い、想いあっているんじゃないかって自惚れだ。


「どうなんだよ」


幼なじみくんがまた難しい顔をしながら俺を見る。


彼はきっと、幼い頃から茉佑と一緒にいて。

彼女をずっと見てきたんだろう…


俺は首を横に振る。


「茉佑はとても優しい人だけど、それは恋愛じゃない」


だから、安心してほしい。

俺が君たち2人の仲を割いたりしないから…

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