第52話

『あと大家さんと会って引っ越したって、お前今どこにいるの?』


「…ごめん、新その話は」


私が言いかけると車のドアが開く、


「茉佑、ごめん待たせて…」


私の焦っている顔に驚く辰巳さん口パクで「どうした?」って聞いているような。


『…男?』


「あの、その…今デート中で。後で必ず会いに行くから連絡するから1度切る!」


半ば強引に新との電話を切って、深いため息をつく。


「茉佑、どうした?」


「幼なじみに…家に居ないことがバレました!このままだと親に連絡も行ってしまいます」


「え?親に言ってなかったの?」


「言えるわけないじゃないですか!契約彼女してるとか」


「いや、彼氏と同棲しているとか」


「そんな嘘言えるわけないですよ!」


「とりあえず幼なじみと会うんだろ?俺も行こうか?」


「いえ、私ひとりで大丈夫です。

それよりアリサさんは?」


「ん?大丈夫。わかってくれたから」


辰巳さんは、ポンポンと私の頭を叩く。

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