第11話
あらかた片付けて桜井さんと私は外に出ていく。
「あの、桜井さんって一体…」
「自分よりも上の立場なだけでこんなに給料違うのかって?」
「えっ!?いや、はい…」
「本当に久保って素直だな」
ククッと笑う桜井さんは、右手で首を掻きながら、少し気まずそうに「親の金」と言う。
「え?」
「俺ん家、桜井ホールディングスなの」
「え?桜井ホールディングスって…大手の」
びっくりして私は、たどたどしくゆっくり聞き返す。
「このマンションは大学生の時から住んでる。父親が買い取ったマンション」
「へ、へぇ…そうなんですか」
自分とはあまりにも違う世界すぎて私は、うまい言葉が出てこない。
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