第17話
「あっ!」
聞き覚えのある声が聞こえてその方を見ると、百瀬さんで彼はこちらをじっと見ていた。
「あ、百瀬さん。矢島さん、来ちゃいましたね」
隣の山口さんもそれに気づいて苦笑いをすると何故か彼は友人と共に私の前に座る。
「え、なんで?」
私はあからさまに嫌な顔をしたが、
そんな事はお構い無しの彼ら。
「百瀬くん、藤原くんーこっち来てよ」
反対席にいる受付の女の子たちに誘われている2人。そっちに行ってよ、と心の中で唱える。
百瀬さんはその声に無視していたが、隣の藤原さんが「ごめんね、また後で」と爽やかに返していた。
「こないだ、俺何かした?」
「こないだとは…いつの」
「あ!?あんたと会話したのはこないだの申請書の時だけだろ!」
「はい、そうでしたね」
「ったく、その後嘘ついていなくなるしよ。
何なんだってーの」
「ごめんなさい…」
そりゃそうだ。百瀬さんからしたら急に涙を流しながら自分を見た変わった女っていう印象しかないよね。
「あまりにも百瀬さんが、大好きだった人に似てたから…顔も声も、仕草も…だからびっくりして逃げちゃって、すみませんでした」
「はぁ!?何だよそういう事かよー」
百瀬さんは安心したかのように深いため息を着く。
「俺、あん時イライラしてたからあたったかと思ってた」
「確かにイライラしてて怖そうな印象ではありました」
「だよな、俺第一印象最悪だよな」
「それは私もですよね、すみません」
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