第15話

「お疲れ様です、百瀬さん。

矢島さんの代わりに私が受け取っておきます」


「あ、あぁ。

その矢島さんってどこにいんの?」


「えっと…席離れるって言われて…」


「いつ帰ってくんの?」


「えっと…」


百瀬さんは山口さんにどんどん質問していく。

彼女も私が逃げたからか、返答に困っていた。


「とりあえず!すぐには戻らないと思うので代わりにお預かりしておきます!

営業部さんはお忙しいと思いますので、ささお戻りくださーい」


山口さんはお得意の明るさと愛嬌がある笑顔でその場を無理やり収めてくれた。


百瀬さんが戻ったのを確認してからすぐに、席に戻り山口さんにお礼を言う。


「ごめんねー!ありがと」


「全然気にしないでください!いつも助けられてますし、これぐらいやらせてください」


「ありがとうー」


ホッとして紅茶を1口安心して飲むと、きょとんとして私を見る山口さん。


「でもどうして百瀬さんダメなんですか?」


「ダメとかじゃないんだけど…。

似てるの、大好きだった人にすごく…似てるの」


「え?それは…元彼さんとかですか?」


元彼。そう言った彼女の言葉に、光輝は元彼としてでいいの?それとも彼氏?

だって別れた訳じゃないから…

別れようって言ってないし、言われてない。


「世界で一番、大好きな人」


「大好きな人ですか?何か素敵ですね」


彼女は満足した答えが聞けたからなのか、パソコンと向き合って仕事を始め、私も同様にパソコンと書類に目を通す。

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