第15話
「お疲れ様です、百瀬さん。
矢島さんの代わりに私が受け取っておきます」
「あ、あぁ。
その矢島さんってどこにいんの?」
「えっと…席離れるって言われて…」
「いつ帰ってくんの?」
「えっと…」
百瀬さんは山口さんにどんどん質問していく。
彼女も私が逃げたからか、返答に困っていた。
「とりあえず!すぐには戻らないと思うので代わりにお預かりしておきます!
営業部さんはお忙しいと思いますので、ささお戻りくださーい」
山口さんはお得意の明るさと愛嬌がある笑顔でその場を無理やり収めてくれた。
百瀬さんが戻ったのを確認してからすぐに、席に戻り山口さんにお礼を言う。
「ごめんねー!ありがと」
「全然気にしないでください!いつも助けられてますし、これぐらいやらせてください」
「ありがとうー」
ホッとして紅茶を1口安心して飲むと、きょとんとして私を見る山口さん。
「でもどうして百瀬さんダメなんですか?」
「ダメとかじゃないんだけど…。
似てるの、大好きだった人にすごく…似てるの」
「え?それは…元彼さんとかですか?」
元彼。そう言った彼女の言葉に、光輝は元彼としてでいいの?それとも彼氏?
だって別れた訳じゃないから…
別れようって言ってないし、言われてない。
「世界で一番、大好きな人」
「大好きな人ですか?何か素敵ですね」
彼女は満足した答えが聞けたからなのか、パソコンと向き合って仕事を始め、私も同様にパソコンと書類に目を通す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます