16-7

そこでちょうど、20分に一度のダウンタイム。

私は、客の膝にまたがった。


お酒が少し入ったおかげか、緊張も恥ずかしさも最初よりは薄れていた。

ボタンを下まで外し、客の耳元で言った。



『見える?』


「暗くて見えん」


『だよね』


「大きさより感度が大事」



客はそう言って、私の胸に触れた。


最初は掌で包んで、ただ揉んでいるだけだった。

だけど股間に当たるものが固くなってくると、乳首を指で弾いたりし始めた。


客が掠れた声で言う。



「感度、いい方?」


『わかんない…』


「気持ち良くない?」


『気持ちいい…』



少し投げやりな気持ちでそう答えた。


そう返すのが正解なんでしょ。

そんな気持ちだった。



「気持ちいいんや…固くなってきとる」


『そっちもね…』


「もうほんとヤバい…この後絶対ヘルス行く 笑」



散々胸を弄り回されて、ダウンタイム終了。

さりげなく延長をお願いしたけど、ヘルス行く!と断られた。


延長が取れなかったから、ボーイさんに思わず『すみません…』と呟いてしまった。



「あのお客さん毎回絶対延長せんから、気にせんでいいよ」


『そうなんですか』


「ドリンクもあんま出さんし、ケチで有名 笑」



本当かどうかは分からないけど、それを聞いて少しホッとした。


時間も時間だし、今日はこれで終わりかな?

そう思っていたら、呼ばれた。



「これ、ラストね」



当たり前だ…お客さん送る頃は、とっくに2時を過ぎている。

泣きたくなった。

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