15-3

場面場面で端折られてはいたが、大体の流れは解る様な作りのVTR。



用語として、知ってはいたけど。

分かってはいたけど。


実際に流れを見せられたら、何だか衝撃だった。

会って5分もしないうちに、キスして裸になるなんて。


見終わって大きく息をついた私に、男が言った。



「本番。ソープ。稼ぎたいならこれが一番稼げるばい。短期間で稼いでやめたいなら一番いい。やれるんなら紹介するばい」


『……』



正直、そこまで考えていなかった。


自分の以前の年収丸々を超えるくらい、借金がある。

それを、この仕事ならひと月ふた月くらいで返せるという。



「まぁいきなりは無理か。同じ様な流れで、本番はせんで口だけでサービスする店もあるばい」


『口だけ…』


「そう」


『全部脱ぐんですか…』


「そうやね」


『さっきの…マットプレイとかいうやつもするんですか…?』


「マットはやる店とやらん店があるね…マットやらん店なら、うちにもあるばい」


『そこは…お風呂には入るんですか?』


「風呂はないね。消毒綿で拭いて、くわえる」


『くわえる…』


「ここの表がちょうどその店やけど、音楽うるさくかかっとうやろ?んで店ん中も暗い」



確かに、来る時に音楽がうるさいと思った…



「2人がけのシートが全部同じ向きに並んどるし、通路側は植木で隠してあるし、暗いから見えん。うるさいけん他の声も聞こえん」



なるほど…そのための、この大音響。



『個室じゃないんですか…』


「個室やないね。個室っぽくはなっとうけど…」


『……』


「時間短いしバックも安くなるけん、その分、本数こなさないかんくなるね。一般的にはソープが一番身体使うけど、女の子によっては数こなすこっちの方が体力的にきついって言う子もおるね」


『そうですか…』


「とりあえずまぁ講習だけしてみる?」


『講習…?』


「こういう業界は大体最初にやるんばい。講習を」


『そうなんですか…』



すると男は立ち上がり、ドアの鍵を閉めた。

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