第86話

矢雄斗からバックを受け取り「いってきます」とみんなに言い、走り出した。



走っている途中で組員から「お嬢、いってらっしゃいませ」と声がかけられた。




あれ?いつあたしの事聞いたんだろう。




ってそんな場合じゃねぇ!




あたしは玄関まで猛ダッシュした。



外には矢雄斗が黒塗りの車に乗ってあたしを待っていた。




いつの間に…




あたしは助手席か後部座席で迷ったけど、後部座席に乗ることにした。




「何で後ろなんだよ!俺の隣に来いよ」




別にいいじゃん。



てかその発言マジ引くんだけど。



『いいから早く出発してよ。ただでさえ遅刻してんだから』



「はいはい。分かりましたよ、お姫様。つかその格好だから姫じゃねぇか!アハハッハ」



マジでこいつ何?




一回シメた方がいいよね。



『早く出発しろって言ってんのが聞こえねぇの?』




少し殺気を出しながら言った。




「はい!出発いたします!」



そんなに怖かったのか背筋がピンと伸びやっと発進した。

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