手強いオトコトモダチ

第1話

「暑いね」


「うん」




蝉の鳴き声が煩い、夏真っ盛り。


高校の校庭の外れにある、今は使われていない茶道室の隅っこ。


開け放った窓から入ってきた風が、目の前に座っている男のキャラメル色の髪をふわっと揺らす。



誘われるように顔を上げて見てみれば、男の甘く整った顔が日差しを浴びて眩しげに歪んでいた。



女顔のくせに、気だるく着崩した制服のシャツから覗く腕の血管が何とも言えず男っぽい。



やば。カッコイイ…。


そんな気持ちでいっぱいになり、あたしは堪らず目を閉じた。




あたし、千秋ちあき16歳が今欲しいもの。


それは何を隠そう今あたしの目の前に居るこの男、同じクラスの玲哉れいやである。

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