オヤジが同級生!?

@noritaka1103

第1話 入学式

「ふ、不審者じゃない!が、学生!新入生だ!学生証も、ホラ!」

警備員に捕まっている男。

聞き覚えのある声だが「声が似ているだけ」と思い、関わらないようスルー。


「あっー、ムスメー!お父さんを見捨てるんじゃないよ!」

…っつ!?似ているんじゃなくて、ホンモノかよ。

「ちょっ!オヤジ、なにその格好?」

「そんなの、この高校に今日から入学するからに決まってんだろ!ちゃんと試験とかやったんだからな?まあ、50歳のおじさんの制服姿は見苦しいかもだけどね…」


試験の日に、オヤジはこの高校まで車で送ってくれた。もしかして、その時に同じ試験を受けていた?たぶん、車はどこかの駐車場に止めたのだろう。


「言ってなかったか、実はお父さんな、高校に行ったことなかったんだよ。だから、高校ってどんな感じなんだろう?って思って、興味本位でここを受験したら、なんと受かってしまった!ってワケ。ま、一緒に3年間ガンバロ!」 

えっ、3年間も同じ学校で一緒とか…ヤダ…と露骨に嫌な表情を浮かべると、それを見たオヤジは口を膨らませて「ヒドーい」と呟く。


そして、クラス分けを見る。オヤジと同じクラスは勘弁してくれ!と願いながら…


1年A組 倉田ヒナ(ムスメ)

1年D組 倉田武文(オヤジ)


良かった。オヤジとクラス一緒は回避!ただ、同じ学年になので「同級生」という事実は足掻いても変わらない。


入学式の最中、オヤジは新入生の中でひときわ目立つ。だって、15歳の中にひとり50歳のオジさんが紛れているんだもの。そりゃあ、警備員に捕まるワケだ。


そして、新入生代表の挨拶。そして、壇上にあがるオヤジ。

「えー皆様、新入生代表の倉田武文50歳です。桜舞うこの4月にこのような素晴らしい式をですね…(長いので以下略)」

オヤジの長い雑談により、校長先生の挨拶が「入学おめでとうございます!」の一言だけで終了。明らかにオヤジ長いフリートークのせいである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2024年10月18日 13:00

オヤジが同級生!? @noritaka1103

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ