第104話
教室は、ある意味静かだった。昨日の天体ショーの話題で持ちきりになり、千歳に構うものはいないと思われる。
しかし、その時は、刻一刻と迫っていた。
繰り返す日常の普通が、その日だけ覆される日。空に輝く太陽が、漆黒の月に食われたのと同じように、異様な運命の日だ。
千歳は、手洗い場で、手を洗っている時、尻に違和感があった。
何者かが、尻をまさぐっている。振り向くと、小枝がにやにやしながら口走った。
「なんでもないよ」
そう言われた瞬間、尻に衝撃が走る。激痛だった。
「なにしたの」
叫んだ。
慌てふためき、その場で小さな円を描きながら、一周回った。
叫び声を聞きつけたあいつらが集まってくるのを横目に、千歳は便所へ駆け込んだ。
「バカ」
そういって、あいつらは千歳を笑う。
千歳は、駆け込んだ便所で恐ろしい物を見た。下着の中にムカデがいたのだ。下着を脱ぎ捨てると、ムカデは、便器の中で激しく踊る。
その蠢く様が恐ろしくてたまらなくて、思いっきり水を流した。轟音を鳴らしながら流れる水に乗ってムカデは姿を消した。
幻にしたい。こんな現実は、なかったことにしたい。
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