第69話

だから、和菜が千歳の味方だというイメージを持っていたそいつは、思わず声を上げたのだ。


和菜に渡してしまったら、千歳にこの密な計画がバレてしまうかもしれないからだ。


しかし、そのメモに目を通した和菜は、何も言わず、ゆっくりと瞼を閉じてまた開くと、周囲の緊張感にも気づかず、何事もなかったかのような顔する。


そして、流れ作業のように、後ろの席にそれを渡した。


千歳は、その時声が上がったところに目をやっていたが、そいつはすぐにうつむいて顔を隠した。


その向こうにいる和菜と目があったが、和菜は微笑みを浮かべてこちらに手を振っている。


千歳は、微笑みを返して、手を振った。

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