第61話

朝日に照らされたアスファルトの上を軽快なステップで歩く。


「楽しそうだね。千歳ちゃん」

少し小馬鹿にした感じに和菜が言う。

「なにかいい事でもあったの」


千歳は、自分の行動に何の意味もないことに気付いた。だから、

「何にも」

と答えた。


通学路を行くと、途中に森があり、森の影を流れるまだ冷たい風が頬の熱を奪う。


森の木々のざわめきが、恐ろしく聞こえ、おぞましい蠢きに感じた。


しかし、なぜか楽しい。

千歳は、自分の感情が自分の手に負えなくなっていることに、知らないふりをした。


道路脇の道祖神がこちらを向いている。

丸いフォルムにデフォルメされたイザナギノミコトとイザナミノミコトが、仲よさそうに微笑み、寄り添いながらこちらを見ている。

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