アイデンティティクライシス

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第19話

マリオネットシアター 第二章 アイデンティティクライシス


千歳の祖母は、一年前に亡くなっている。

死因は、色んな病気の併発による衰弱死だった。


千歳には、祖母と触れ合った記憶はない。

ただ、死の香り漂う、その最後の生活を知っている。



部屋は閉め切られており、アンモニアの臭いの充満する小さな部屋に祖母はいた。


独りで暮らしていたのだ。

千歳の父と母は、千歳が生まれる前に亡くなった祖父の代わりに一緒に暮らそうとはしなかった。


祖母は孤独の中、亡くなっていった。

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