第6話
そして、その村にも人形劇を上演しようとする人は集まってくる。
もうすぐ、夏が来る。
夏になれば、この街は活気にあふれ、人形劇がそこかしこで見られることになるだろう。
その前座のようなものが、今日、この日、千歳の通う小学校で上演される。
千歳は楽しみだった。
体育館で、友達の瑠奈と明美と小枝と和菜と共に並んで、舞台の上で上演されるマリオネットシアターを見た。
どこの劇団だったろう。
外国の劇団だったか、学生劇団だったか。
マリオネットと呼ばれる人形の体の関節部分に糸をつけて、まるで生きているかのように操る劇。
まるで、劇団員は魔法使いのようだった。
心を持たないはずの人形が、言葉を話し、人間のように動き、人間のような人生を歩む。
夢の中の世界が、そこに広がっている。
憧れた。
こんな風に人形を操ってみたいと思った。
千歳は、人形が自分自身だと気付くことはなかった。
人に思うが儘操られ、体の自由を奪われたそれが、自分の今ある本来の姿だとは。
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