第12話

私は彼のアパートで、彼の帰りを待ち侘びていた。



長距離運転手の休みは、運搬の仕事が終わった次の日になるため、私の休みとなかなか被らず、今日も1ヶ月ぶりの再会だった。



だから私は、彼と会うのが楽しみで、まるで飼い主を待つ番犬のように、玄関に待機し、微かに聞こえる靴の音に、聞き耳を立てた。



キュッキュッと鳴るスニーカーの足音が、大きくなり、ドアの前で止まると、



ガチャガチャと鍵が回り、ドアが開いた。



みつる、お疲れ様」



私は、満面の笑顔で彼を出迎えた。



「弥生、会いたかった」



彼は、手に抱えていた荷物を下に降ろし、私を抱きしめキスをした。



私の唾液を、絡め取るように舌を掻き回し、リップ音を鳴らして、濃厚なキスを繰り返す。



いつも通り、彼の口からは、たばこの味がするが、今日は少し苦かった。



「お風呂沸かしているから、ゆっくり入ってきて」



「弥生も一緒にお風呂入ろうよ」



「今、餃子焼くところだから1人で入って」



「は――い」



不満げに、1人で風呂場に向かい、彼はわざと着ていた服を脱ぎ散らかし裸になった。



私は、笑いながらそれを拾い、ドラム式洗濯機に放り込んだ。

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