第4話

――3年前



あの人『絶倫』らしいよ――




私は、この店に配属されたばかりの頃、来店していたお客様から、その噂話を聞かされた。



あの人とは、このデパートの隣の建物の2階で、喫茶店を経営しているマスターの事で、私は朝すれ違うと、いつも挨拶をしていた。



その日も食材の買い出しに、この店の食品売り場を訪れ、それを見たお客様が、ニヤニヤしながら、マスターを指差した。




「あの人『絶倫』らしいよ。友達から聞いたんだけど、絶倫過ぎて、付き合ってた彼女が『身体がもたない。あそこがこ破れる〜』って、体壊して、別れたらしいよ……笑えるけど、男として最低だよねー」



「えっ、、、、」




私は口を開けたまま、固まった。



まだ男性経験の無い私には、その話が衝撃的で、気持ち悪さを感じた。




私はその日から、なんとなくマスターを避け、軽蔑し、挨拶をしなくなった。

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