第47話
私は、早々と引越しの日時を決め、寝る間も惜しんで、荷造りをした。
12月23日は、家の不用品を処分するため、買い取り業者に来てもらい、部屋の中の家電やテーブル、ソファーなど、次々と運ばれ、部屋は片付いていった。
しばらくすると、玄関から微かに声が聞こえてきて、業者さんが、何か尋ねたのだと思い、玄関に見に行った。
するとそこには侑くんが立っていて、私は驚き、一瞬固まった。
「侑くん……どうしたの?」
彼は私と目が合うと、迷う事なく靴を脱ぎ捨て、家の中に入って来た。
「あ、あ、明日、会えないから……プ、プレゼント持って来た」
今日の彼の格好は、襟付きのシャツに、グレーのカーディガンを羽織り、黒のスキニーパンツ姿で、
すごくカッコよくて、私には、モデルのように見えた。
「ここに来る事、誰かに話して来たの?」
「おば、おばあちゃんは病院。お父さんが連れて行った。だから話してない」
「ダメでしょ。お父さんに怒られるから、早く帰りなさい」
私が彼を諭していると、玄関先に業者の人が顔を出した。
「荷物、積み終わったので、終了となります」
「ありがとうございました」
玄関で業者の人達を見送り、再び侑くんを家に返そうと努力したのだが……
「さ、沙也加さん、僕寒い……風邪引きそう」
彼の頬は赤くて、唇は青く、体がブルブルと震え、本当に寒そうだった。
「侑くん、コートは?その格好のまま、ここまで来たの?」
「う、うん、急いで来たから」
外は風も強く、気温が低い。
それで仕方なく、彼を部屋へ入れ、ストーブの前に座らせたのだが、
彼は部屋をキョロキョロと見渡し、次第に落ち着きが無くなった。
そして部屋を歩き回り、間違い探しをするかのように、消えたものを、次々と当てた。
「レンジも、テレビも冷蔵庫も、洗濯機もない……ど、どうして何も無いの?」
「全部……壊れちゃったから、業者さんに頼んで、さっき捨てたの」
「た、大変、だね……じゃあ僕が、家で洗濯してきてあげるから、い、いつでも言って」
引っ越すことがバレないよう、冷や冷やしながら嘘をついたのだが、彼は疑いもせず私を信じ、どこまでも純粋で優しかった。
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