第8話
それから数日後、彼は荷下ろしの助手として、はなまるにやってきた。
私は、すぐさま彼に近寄り謝った。
「お疲れ様です。こないだは大丈夫だった?ナッツ、苦手だったんだね。ごめんね」
彼は仕事の手を止め、軽く頷いた。
「お詫びにこれ、どうぞ。今度は食べ物じゃないよ」
私が袋を渡すと、彼は袋から中身を出した。
中に入っていた色鉛筆を見ると、目を見開き、ぐるぐると商品を回しながらパッケージを確認していた。
そして何故か、匂いを嗅いだ。
「絵、描くの好きなんだってね。今度、私にも見せてね」
「あ、、、はい」
「ねぇ、名前……教えて」
「ぼ、ぼ、ぼくは、
「侑くんかぁ。……そっか、いい名前ね。私、沙也加です」
「かわらまちの……かわ・む・ら・さやかさん」
彼は、先日私が書いた、メモ紙の内容を覚えていてくれた。
「じゃあ、この台車の荷物、私が売り場に運びます。だから、色鉛筆、トラックにしまって来て」
彼は笑う事は無かったけど、スキップしながらトラックへ向かっていたので、喜んでいるのだと、解釈した。
――それから彼は、仕事に来ると、彼の方から挨拶してくれるようになり、少しづつ会話も増えた。
奥さんの話だと、彼は人見知りで、なかなか従業員とも話さないし、
嫌な事があると、すぐ仕事を休んでしまうと聞いた。
そんな彼が、自ら会話をし、仕事も休まず出勤するようになり、奥さんは、私をすごいと褒めてくれた。
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