P.77

あ、



目の前にマナと知らない男の人が歩いていくのが目に入る。



《マナさぁ、あれやってるらしいよ》



もしかして…






「おはよーございまーす…」


あ、



「なに?どうかした?ユリ」


「ううん、なんでもないよ」




マナの目の下にはクマが浮かぶようになった。




「どんだけヤりまくってるんだよ」

「マジきもいんですけどー」


日に日に悪口がひどくなり、日に日にマナはやつれていくように見えた。



マナがやつれていくにつれ、悪口も悪くなっているように思えた。




マナは何も言わない。反論もしない。


でも、小さくなってもいかない。



ひどく弱った顔で、気丈になんてことないふりをしているように見えた。




マナは強い。


でも、人はそれほどまで強い生き物じゃない。




ガラスの仮面は、もろく、壊れやすいことを私は知っていた。

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