《呪いの花》
P.72
◇
私が樹のところから去ったのは、居心地の良さに染まってしまいそうだったから。
いつまでもそこにいるわけにはいかないし、本来の目的を忘れちゃいけない。
そのために、私はあの時この道を選んだのだから。
だから、18歳になったあの日に、あそこを去った。
最初から決めていた。18歳になったら、働ける歳になったら出て行こうと。
働ける年にはなった。
だけど、高校に行っていない私が働ける場所なんて限られている。
生活するためにも、目的を果たすためにも、お金が必要だと思った私は、迷わず夜の仕事を選んだ。
年齢を2歳だけ誤魔化して。
どんなことでもしようと思った。
もう自分なんて覚悟を決めたあの日に捨てた。
使えるものは全部使う。
汚いとか、関係ない。お金はお金。使えるものを使って何が悪い。生きるためには仕方ないこと。
目的を果たすためにはお金が必要なんだ。
「ユリちゃーん、向こうのテーブルお願い」
「はーい」
「ユリちゃんはどうしていつも黒ドレスなの?」
「え?似合わない?」
それは、心に秘めた想い。
呪いの花を
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