《呪いの花》

P.72


私が樹のところから去ったのは、居心地の良さに染まってしまいそうだったから。



いつまでもそこにいるわけにはいかないし、本来の目的を忘れちゃいけない。



そのために、私はあの時この道を選んだのだから。




だから、18歳になったあの日に、あそこを去った。



最初から決めていた。18歳になったら、働ける歳になったら出て行こうと。





働ける年にはなった。


だけど、高校に行っていない私が働ける場所なんて限られている。


生活するためにも、目的を果たすためにも、お金が必要だと思った私は、迷わず夜の仕事を選んだ。



年齢を2歳だけ誤魔化して。



どんなことでもしようと思った。


もう自分なんて覚悟を決めたあの日に捨てた。



使えるものは全部使う。


汚いとか、関係ない。お金はお金。使えるものを使って何が悪い。生きるためには仕方ないこと。



目的を果たすためにはお金が必要なんだ。





「ユリちゃーん、向こうのテーブルお願い」


「はーい」


「ユリちゃんはどうしていつも黒ドレスなの?」


「え?似合わない?」




それは、心に秘めた想い。





呪いの花を


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