P.64
「わぁ、見て!クラゲって綺麗だね」
キラキラとライトアップされた水槽にぷかぷかと浮かぶミズクラゲに目が奪われる。
「クラゲって脳がないんだって。それなのに生きてるってすごいね」
「そうなんだ」
ぷかぷか浮かぶクラゲを見つめる。
脳がなければ感情もないのかな?傷ついたりしないのかな?
いいな。
私も考える脳がなければあれこれ考えなくたっていいのにね。
ただ今ある環境を受け入れて、そこでぷかぷか浮かべばいい。
それができたらどんなに楽だろう。
誕生日でも何の記念日でもない何でもない日常がすごくすごく大切で、すごくすごく幸せだった。
樹は、この先もうないと思っていたことを叶えてくれた。
この幸せがずっと続けば、永遠に続けば、どんなにいいだろう。
だけど、忘れちゃいけない。
私がまだここにいることの意味を。目的を。
忘れちゃいけないんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます