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7年前の4月——…



新学期になり、クラス替えが行われた。


このクラス替えが運命を変えるものになるとは、この時はまだ誰も知らなかった。




女子という生き物はグループを作るものだ。


クラス替えしたその日には、元々仲良かった人、同じクラスだった人、同じ部活の人、同じ系統の人たちでグループができる。



彼女は、同じクラスだっというだけで藤崎紫乃と一緒になった。


元々は一緒にいたわけじゃないし、同じ部活でもないし、系統も違う。


それでも、一緒にいる人がいなかった彼女は一安心していた。一人じゃないと。




大部分の中学生女子にとって、一人になることは堪え難いこと。


それは一人が寂しいからじゃない。と、少なくても彼女は思っていた。



一人でいていいなら、一人でもいい。


仲良くない人と気を使っているくらいなら、一人の方がずっと気楽だと。



でもそれをしないのは、まわりの目を気にしてるから。



怖いのは一人でいることじゃない。


まわりに一人だと思われることが何よりも怖い。


一人でいるということだけで、なんらかの欠陥がある人物だと認識されてしまうから。



そんなまわりの目がある中で、ひとりでいられるほど彼女は強くはなかった。




まだ気を使う仲だけど、紫乃といることは別に嫌じゃなかった。


一緒にいるうちに気は使わなくなるだろうし、彼女にとって教室で一緒にいる人がいればそれだけでよかった。



それはきっと紫乃も一緒。



でも、彼女と紫乃が違うのはそれ以上を望むかどうか。




世の中には位というものがある。


いつの時代も上流階級の人と下級のものたちがいる。



それは、学校の中のような小さな世界、さらにクラスという狭められた世界にも存在する。


スクールカーストとか、マウティングとか呼ばれるものが。



下級にいることを感じていながらもそれ以上を望まない者もいれば、上に行きたいと思う者もいる。



それが、彼女と紫乃の違い。



彼女はそのままでよかった。無理して背伸びしようとは思わなかった。




でも、紫乃は上位にいたかったんだ。そのために、紫乃は彼女を裏切った。

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