第4話

いいのかな。これで…。


ほぼ見た目とスキンシップについての提示しかされていない気がするけど。



この館に来る前に侯爵様が言っていた『妻として献身的につかえて欲しい』とは、このことだろうか。




「ま。とにかく僕が君に望む条件は日々の癒やしだから。そこのところ忘れずに」


「分かりました」


「君からは?」


「特に何も…」


「そうか。ならいい。この事はくれぐれも内密にね」


「えぇ…」


「後のことは適当に使用人にでも聞いてやってくれたまえ。以上」




ドンッと大金をテーブルに置き、侯爵様はんだ碧眼へきがんを楽しげに潤ませてニッと妖しく微笑んだ。



思わず生唾を飲み込んだ私を嘲笑うかの如く。



ほら。これが欲しいんだろう?と言いたげに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る