第3話

「ドレスは脱がせやすいものを。胸元はガッツリと開けて。ガーターベルトとストッキングは必須。出来得る限り肌の露出は多めに」


「はい…」


「色は淡い色味の物が良いね。下着もそれで。髪型はハーフアップ。化粧は薄めで頼む。それと僕が帰宅したら手を止めて直ぐに飛んで来ること」


「はぁ…」


「夫婦の営みは週3回以上。望めば何でも言うことを聞かねばならない。呼び名は好きに。膝枕は毎日欠かさず。寝室は一緒にね。浮気は死刑。異論は認めない」




ポンっと書類に判をつき、目の前に座った見目麗しい侯爵こうしゃく様は、とんでもない契約内容をまくし立てる。



口を挟む隙すら与えずに淡々と。


豪勢な椅子にふんぞり返って、華やかな金の髪を掻き上げながら。


契約結婚と言う名のもと、嫁いで来た私に自分の理想をスラスラと並べている。



これが私と結婚する条件だとばかりに。

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