求婚公爵の婚活日記、片思い中のメイド添え

さめしま

第1話

私の朝はこの方を起こすことから始まる。


 朝の陽ざしがうっすらと差し込む室内。うららかな朝日に照らされ明るく照り映える部屋の中、中央に坐するダブルサイズの大きなベッド。


 真っ白なシーツに沈み込むように、その人が瞼を閉じて横たわっている。


「シャルル様。お目覚めの時間です」


 軽く声をかけるだけで、寝覚めの良いこの方はすぐに目を覚ました。朝日に透けるまつ毛が夢のように輝く。


 瞼が二度三度瞬いて……そして、その下から真っ青な瞳が現れた。


 この国の至宝とまで謳われる青く輝く宝石のような瞳。朝日の中ではより一層美しく照り映えるそれが、下から私を映す―。


「おはよう、アン。今日も愛してるよ!」


「おはようございますシャルル様。今日も元気に頭沸いてますね」


 そう。そしてここまで全て、朝のルーチンの一つなのだ。


 毎日の恒例行事。もはや日課となってしまったその告白。

 私は大きくため息を吐いた。


 今このお家を襲っている最大の危機、その元凶。いったいどうすれば解消できるのやらと思いながら。

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