P.74

―――――――――――…




「南里ちゃん」




目をつぶって覚醒と睡眠の間を行ったり来たりしていた私は、その声に目をパチっと開けた。



眼に映るものは、さっきと変わらない景色。


未だに全部夢なんじゃないかと疑っているのだけど、眼に映る景色がそれを否定する。




ゆっくりと体を起こすと、「南里ちゃん、おはよう」と雅人に笑顔で言われた。


それに会釈で返す。



「ずっと寝てたけど、よく眠れた?」


「まぁ」



外の光も小さな窓からしか入らないここは、さっきと変わらない電気の光の明るさで、感覚的には時間の流れを感じとれない。


でも、今が何時かはわからないけど、ゴチャゴチャと頭の中でいろんなことを考えているうちに、意外と時間が経っていたらしい。



‘よく眠れた’気はしないけど、そう答えておいた。

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