P.41

「だから、しばらく俺らと一緒にいてくれる?」



そう少し申し訳なさそうに聞きながら、どこか決定事項のように言う小宮雅人。




「なんでですか?」



だけど、私はそれに首を傾げる。




「なんでって今の話し聞いてなかったの?」



私の反応が意外だったのか、小宮雅人は驚いた顔をした。




「ちゃんと聞いてましたけど?狙われるかもしれないってことでしょ?」



それでも私はいつも通り淡々と述べる。



ここがどこで、彼らが誰で、何のためにここに連れてこられたのか、欲しかったピースは揃った。


状況がわかった今、先ほどのような混乱はなく、頭はいつも通りの冷静さを取り戻していた。




「うん、だから…」


「だから、一緒に居ろと?」


「うん」



あたかもそれが当たり前だと言いたげな口ぶりに、ため息が出そうになる。


さらに「バカなんじゃないの」と言ってはいけない言葉まで出そうになる。



「一緒にいたら『そうです』って認めてるようなもんじゃないですか。一緒にいない方が違うって思ってくれるんじゃないですか?」



彼らの話が事実なら、あの場に一緒にいたせいで、私たちの間に‘関係がある’と思われたわけだ。


でも、それは勘違いであって、実際には何の‘関係’もない。


それなのに、一緒にいたら‘関係がある’と認めていることになるんじゃないか?



だったら、今まで通り関わらずにいた方が、‘勘違い’だったと思ってもらえるんじゃないだろうか。



詳しいことは何も知らないけど、どんな経緯があったとしても、私と彼らの関係はまだ噂話にすぎないはず。


だとしたらは、わざわざそれを事実にする必要はないんじゃないか?



『一緒にいる』なんてお互いデメリットしかないことをしなくていいわけだし。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る