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「君、名前は?」



ニコリと笑顔を浮かべるキャラメルブラウンの男。




「え?」



「名前、なんていうの?」




そう言う男は笑顔を浮かべたまま。


その笑みは嫌なものではないけれど、対応に困る。



また‘名前’。なんでそんなに名前を知りたいのだろう。


日本人も街で偶然会った人と名乗りあったりするものなのなんだろうか。




「えっと…あの、それ答えなくちゃダメですか?」



銀髪男とは違う柔らかい雰囲気に、話しやすさは感じるけれども、やっぱりここで見ず知らずの人に名前をいうのは気がひける。



別に、銀髪男の威圧感に怖気付いているわけでも、やばそうな雰囲気に不信感があるわけでもない。



言ったところで、もう会うこともないだろうから、なんでもないことなのもわかってる。


だから、渋るようなことじゃないとも思うけど、なんとなくこの人達には知られたくないと思った。


言ってしまったら、何かが変わってしまうような、そんな得体の知れない恐怖。


そんなこと、あるはずないのだけれど。

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