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「そんなことしても、誰も助けてくれると思わなかったから」
「あ?」
鋭い視線に目を向けたまま、怖気づくことなくそう述べると、怪訝な声を出された。眉間のシワはより一層深くなる。
「泣き叫んで抵抗したところで、掴まれる力が強くなって強引に押さえつけられるだけ。そこに面白がった仲間まで増えたら助かる可能性は限りなくゼロになる。例え善意の塊みたいな勇敢な偽善者がいても、そこまで来たら助けには来ない。あなたも私が泣き叫んで助けを求めてたら助けなかったでしょ?だったら、そんな無駄な労力使うより、油断した隙に逃げる方がまだマシだと思った」
「逃げられなかったらどうする」
「その時はその時。運命だと思って受け入れるしかない」
もしダメでも結果が同じなら、無駄な労力使うよりはまだマシだと思う。
そもそも私は‘理由’が欲しいんだ。
本当はもっと違う理由の方がいいけど、自分の思い通りになるわけじゃないことはわかっているから、そこはもう我慢するしかないと諦めている。
だから、まぁいっかと思ったんだ。逃げられないなと思った瞬間、まぁいっかって。なるようになれ、と。
「お前……」
「…なんですか?」
「………いや、なんでもねぇ」
何かを言いかけたはずなのに、それっきり黙ってしまった銀髪。
言いかけた先が少し引っかかりはするけれど、まぁ、別にいいか。
無理に聞き出そうと思うほどの興味もなければ、初対面の人と話を広げられるほどの社交性もない。
そもそも人と関わりをなるべく持ちたくない。
お互い用がないならさっさと帰ろう。
と思ったところで、動きを止めた。
「あ、助けてくれてどうもありがとうございました。」
気づけばまだお礼を言っていなかった。
一応助けてもらったんだから、お礼は言っておくべきだろう。人として。
用も済んだし、今度こそ立ち去ろうと背を向けた。
が、
「待て」
ガシッと腕を掴まれ、阻まれた。
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