第6話

ファハドと侍従は『熱砂の国』では砂漠、或いは表土が硬いが砂埃がモウモウと酷い土漠ドバクを行きました。


ここでの交通手段の主流は動物のラクダです。


この普段ノンビリとした生き物はイザ気分が乗り走り始めると強い生き物です。


それはもぅ馬並みに、バチバチの砂塵を長い睫毛で物ともせず、長い頑丈な四肢を蹴立て猛スピードで突き進みます


「お客さん達凄いねぇ」

「たまげた、本当にお二人さん初めてかい?」


〜つまり辣腕のラクダ商人に目を丸くされた程の乗り手でした


主従は共に、乗り手がへぼで気に入らねばペッ!

容赦なくクッサイ唾を引っかける、気位が高く気性の荒い動物を悠々自在に乗りこなし猛然と進みました。




『平原の国』の、鋼鉄の如しの強き足腰を誇る天馬を相手の騎馬など容易いことでございます。


海の如しの大草原を風の如くに疾走、丸いテント式の住居を構える遊牧民の、点在する集落を換え馬をしながら縦断し、とうとう一応の目的地であるお妃様の生国、屏風のような山山の麓〜



未だかつて見たことも無い山稜がそびえる御国へ到着致しました


「漸くついたな」

「ええ、お坊ちゃま」


既に籠の中の頼れる鳩達は、残り一羽


〜最も体が大きく持久力が素晴らしい、両翼を支える筋肉が頑丈なダイヤモンド号のみ


王宮鳩舎選抜メンバー内でも、とっておきの翼です


この鳩には重大な任務が期待されています


「急ごう」

直ぐさま、先ずは先触れをたてると、彼等もお妃様の兄者が治める王宮に足早に向かいました。


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