第42話

ある日授業中。何回もトイレに行く生徒を心配した。そして僕はそのたびに待ってるといい、中断させた。

するとその生徒が保健室に行くといい、僕が心配して保健室に送っていった。その間は自習にさせた。その生徒は東野恵美エミという。カナとは親友の生徒だ。

この生徒は前のクラスでもおなかが痛いと保健室で休むことの多い生徒だった。明らかにいやなことがあると思ってしまった。そしてベットに横にさせて少しお話ししようというと、エミはこういった。先生、ごめんなさい。私の事怒るかな。でも怒るんだったら静かに怒ってほしいの。私怒鳴られるのダメなの。特に女性の怒鳴る人がダメ。私の生みのお母さんは怒鳴ってばかりだった。私ね。児童相談所に保護されたの。私ね。母と父と離婚して、私の母は子育ての疲れをぶつけてきては、怒鳴り散らすの。そして保護されて育ての母と暮らすようになったけど、今お母さんは私の話をよく聞いてくれてね。めったなことでは怒られないけど、私を怒るときは理由を言ってから怒ってくれる。だから私悪いことは悪いとわかるの。突然大きな声で怒鳴られるのがダメなのというのだ。そっか。だから井手先生を見たとき、嫌がっていたのを感じたのか。僕はそんなことでは怒らないよ。大丈夫だから。体調が悪いのに気が付かなくて僕こそごめんね。僕もね。大きな声だされるとビクとするよ。福井さんは心配してくれてるけど、びくっとするのは仕方ないよねというと、エミは僕に幸さんが先生って呼ばせないのってどうしてと聞いてきたので、僕はこういった。僕はね。字を黒板に書けないし、なんでも助けがないと出来ない。だから、結局先に生まれただけで先生って器でもないだろう。でも教員免許は体育以外は持ってるから、教えるし

。教師なったのだって、僕は人って支え合わないと出来ないことをわかってたから。僕の話を聞いてくれてありがとうというと、

幸さんって先生って感じじゃない気がする。どこにでもいるおにいちゃんだねというと恵美は笑ってくれた。

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