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第1話
フミさんから久しぶりに会いたいというので会うことになった。かおちゃんも同席するのだ。その待ち合わせ場所に現れたのは、近藤君とフミさんであった。
フミさんはパラリンピック後、作業所の職員として賃金の向上にむけ利用者と奮闘する日々だ。
「龍君、久しぶり」と呼ぶフミさん。
近藤は「いらっしゃいませ」という。
あれから近藤はおっさんに飲食店に雇ってもらったらしい。
そのおっさんは近藤をコンちゃんと呼ぶ。
フミさんに今日は貸し切りなというと厨房に戻っていった。
近藤はあれから引き取りもなく作業所にいたが、おやっさんがある日、「今度からパネル式で注文になったんで操作が出来る人をさがしているコンちゃんが機械得意だって聞いて」といい、3か月間のお試しをしたらしい。その中でおやっさんも改めて、コンちゃんは素直なことや仕事が丁寧でゆっくりでもミスがない事など、そしてコンちゃんを欲しいと思う決定付けたある出来事がきっかけで近藤を採用したということだった。その決定的な出来事とは、ある日お客さんが来店してきた。それが子連れのシングルマザーの人だった。その人は会社の付き合いもあって子どもの事に手が回らず、上司が子供を連れてきたことを怒っていたのだ。その時だった。フミさんの子供と同じぐらいだったその子がかわいそうだと思ったコンちゃんは、「お母さん、終わるまで預かります」というと、僕に「ちょっとお兄ちゃんの車いす押してもらっていいかな」というと子供が恐る恐る押して、近藤は子供と一緒に管理室に行き、お菓子とジュースを飲みながら子供と話していた。その時に近藤は子供にこんな話をした。
「もしかしてお兄ちゃんの事怖い」と聞くと首を横に振る。
「そっか。じゃあお兄ちゃんをかわいそうだと思う」って聞いた。すると子供は頷く。すると「車いすだから」と聞くと頷いた。
「そっか。でも、車いすを押してもらえた俺は結構幸せなんだよ。お兄ちゃんね。ずっと車いすに数年乗っているけど、車いすは自分の一部だけど、それが手を繋いでもらえたみたいで、すごくうれしいんだよ」というと、「僕、じゃあ兄ちゃんと友達でいいの」というと近藤は「ああー友達な」というと嬉しそうにした。
近藤は仕事の合間に子供を面倒見ていたのだった。
この出来事はおやっさんが近藤を一番に採用したい要因だった。
そして飲み会が終わったので母親が子供に「遅くなってごめんね。寂しかった?」というと子供は「このお兄ちゃんと友達になったよ」と嬉しそうにいう。母親はびっくりしていたが、「ああーまたいつでも来てな」というとその子が嬉しそうにしてたそうだ。近藤は働き者だと思うのだった。
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