第13話

実は俺はすみれちゃんの事を調べようとしていたのは、これが初めてではない。そう彼女に出会ってから調べようとしていた。尋ね人、道さんという男性。昔黄身町に四歳くらいだと思う少女を訪ねて行ったことのある人、情報求むとして調査をしていた。

彼女の言われていた親の名前の提供はしなかったが、道さんという人がもし訪ねてきたらと思い、仕事仲間に話した。

すみれちゃんは薫にもらった名前だけど、本当の名前を知らないだけでちゃんと名があるのかもしれないことも話をした。仕事の仲間がこういった。今も黄身町は怖いところだよな。あの街は子供をさらうとか有名な街なんだよねというのだ。ねえなんでお前は調べてるのと聞かれて本当の事をいった。親友がどうしてもほっとけなくて少女を匿ってるんだよ。その少女がいうには自分は風呂場で生まれて、そのまま育ったっていうんだ。それに残飯を漁ってたりとか公園で水浴びとか考えられないことをしてたって聞いてね。俺としてはどうしてそんなことになったか知りたくてね。その人がつけた名がすみれちゃんなのよ。というと、へえという。待ち続けてやる。だめだとしても。大丈夫。最後まであきらめないといい、もう一つの問題があるのだ。それはすみれちゃんの教育問題だ。あの子は戸籍というものがないのだ。出生届も出されてない。それに小学校も中学校もいったことがない。ましてや、無戸籍ということでこの世にいないということではないし、そのケースを扱ったことのある人はなかなかいないしな。今も俺も勉強中ってやつ。すみれちゃんの事いろいろ勉強しようと思う。俺も頑張る。待っててね。という俺であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る