第77話

「な……」


カァ!と耳まで熱くなるのがわかった。


確かに男の匂いを残して出勤してきた私が悪い。


だけど、そこまで同僚に言われる筋合いなくない?


……元彼ではあるけど。




「真樹の父ちゃん、潰れそうでも一応、町に浸透してる工務店の経営だろ? 顧客とか持っていかれないように気を付けろよ」



……こんな私でも結婚を考えてくれた初めての男性……。



冷たい顔から放たれた言葉は、心配の裏返しとも取れる……。




「言われなくても気を付けるよ……」





″親父さんに作業員として入ってもらってもいい″




門口の親切過ぎる言葉を思い出した。

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