第58話
帰社してから荻田のミスを知った所長は、突然の門口の訪問に慌てふためいていた。
会議室に、荻田と所長、そして光建設の二人。
四人分の珈琲を淹れて持っていくも、門口は私を見ないし、珈琲にも見向きもしなかった。
その冷たい横顔は、私に交際を申し込んだ男と同一人物とは思えないくらい。
「人間なんて誰でもうっかりはする。それは仕方ない時もある。
だけど、この工事の工程の遅れが、あとの下請け会社にどれだけの損害と迷惑をかけるのか、あんたたちは分かっていない」
その部屋をあとにしながら聞いた門口の言葉は、もっともだと思った。
平謝りする所長と荻田。
「誠意も感じられないし、そのあとのフォローも適当、年間リース契約の破棄をしにここ来たんだよ」
……あぁ。
このままだと、うちの営業所、夏のボーナスは減給かもしれない。
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