第56話

物凄い剣幕で、光建設の現場監督から事務所に電話がかかってきた。



「あ、はいっ、荻田……は……」



前の席の荻田をチラッと見たら、首と手を横に振って、口パクで″ いない ″ って言えと指示をしてくる。



こいつ、一体、何しでかしたのよ?




「申し訳ありません、荻田は只今外出しておりまして、私で良ければお聞きしますが……」



私で対応できるか分からないけど。



《あのバカ! 休み中だと思って気ぃ使って業務日に電話したって取りやしねー!

な、俺らが昨日から使う予定だったユニック車、隣の志水建設の現場で使われてるってどういうことよっ!?》




え?!やっぱり確認漏れ??




「も、申し訳ざいません! それじゃ今から別のものを手はいっ……」



《バカ野郎! ユニックなら何でもいいわけじゃないんだよっ!お前んとこ、″目立建機″のユニックは一台しか持ってねぇだろ??

今の工程の現場はそのメーカーのしか使えねぇって荻田には何回も言ったんだぞ!》



「あ、そ、そうだったんですね」



荻田を睨み付けながらの返事。




何でこんなときに所長はいないのよ?

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