第53話

「その交際そのものは、ありがたく考えさせて頂いていいですか?」



一見、横柄な社長とも取れるけれど、可愛く見えたり、優しさをたまーに見せてくれることもある。



好きになれないとは、限らない。



「考えればいい、とは言ったけど俺はせっかちだから、そんなには待たないぞ」



「分かってます」



何より、お父さんのことを考えてくれていた。



浅はかだと言われようと、私の一番の結婚の条件は、


″お父さんを孤独にしない″ ことだ。





「半月待ってください、そもそも貴方の事、よく知らないので」


「まぁ、確かにそうだな……」



「なので、今日はこのまま真っ直ぐに帰ります」




だけど、直ぐにホテルとかは無理。





「……了解」




そのまま自宅まで送って貰った。








【あんなイケメンとどこで何してたのよー?】



夜、京子からラインが来ていた。


親友である彼女には正直に今日のことを報告する。





【プロポーズ?!! え? 今日、エイプリフールだっけ?!】




予想通りの反応。


私だって信じられないんだから。

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