第47話
「え」
食わしてって。
門口は、私のジェノベーゼをフォークで一巻き分取ると、いいとも言ってないのにパクりと口に頬張った。
「あ、見た目と違う。エグくない」
そして、とても満足そうな顔をする。
その顔、ペコが茹でたブロッコリーを初めてたべた時の顔に似ている。
「……ふ、犬か」
思わず吹き出して下を向いた。
「は?、普通、そこ ″子供か″ だろ? 何だよ犬って」
顔を少し赤くして笑う門口は、ちょっとだけ可愛い。
「ほら、お前も食えよ。ミートソース」
そして、自分のフォークで巻き付けたそれを、私の前につき出す。
え、
それ、
間接キスよりも親近ですけど?!
「お前、トマトアレルギーとかじゃないんだろ?」
「そうだけど、でも」
「さっさと食えよ」
せっかちな表情に変わった門口に負けて、仕方なくそれをパクっと口にする。
「……うまい?」
もう、ドキドキなんてしないと思ってたのに。
「は、い。……トマトと、バジルの味が混ざって絶妙で」
性悪なはずの社長に、トキメキを覚えてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます