第41話

「ここ、ホテルですよね?」


門口の車が停まったのは、高級ホテルの地下駐車場。


「そう」


「ここでなにかあるんですか?」


「下らない顔合わせ」


「……誰と誰の顔合わせですか?」


「いいからさっさと歩け」


「あ」



歩けと言われ足元を見たら、ドレスに不似合いなサンダルだった。



「なんか立食パーティーとかですか? それならこの足じゃちょっと……」


「誰もお前の足元なんか見ないよ」


「でも」


「それに俺のこのカジュアルな格好を見ろ、パーティなら俺だってスーツ着てる」



ヅカヅカとホテルのロビーを歩く門口の顔は、なんかちょっと怖かった。



そして、その足はロビーからすぐのレストランへと入っていき、




「青、遅かったじゃないの??」



着物を着た夫人の前でピタリと止まった。




誰。このおばさん。


まさか、



「ご無沙汰してますね、母さん、ちょっとお痩せになったんじゃないですか?」




門口のママ?!


にしても、とても息子とは思えない口振り。




「嫌味なこと言わないの! それよりなんなの、あなたのその格好! 正装で来ないなんて相手の方に失礼でしょ?!」



おまけに、この展開……。





「お見合いする気なんてないから、こんな格好なんだろ?」


「写真だけで判断するなんて失礼にも程があるわ!会うだけ会ってとあれだけお願いしたのに……て、誰なの? その女性は」




やっと、私を見た門口ママの視線が非常に痛かった。



その視線から庇うように、門口が私の両肩を抱く。





「これ、俺の彼女」






やっぱりな展開ーー



私、俺様社長の彼女にさせられている。

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