隼人の我慢

第33話

SIDE満

俺は弁当を隼人に渡すと「兄貴ありがとう」という。

「遠足楽しんで来い」と送り出した。

その日の夜、俺が台所を片付けていたら、彩斗が来て「隼人の様子がなんか変なことないかな」という。

「どう、変なんだ?」と聞く俺。「うーんなんかさ悩んでるみたいで、時々なんかこう上の空みたいな感じがするんだけど。好きな子とかに失恋したのかなって感じがするんだけど、どう思う?」

「うーんあいつはいつも明るいからな」という俺でも気になる。

「彩斗、俺があいつの部屋に行ってみるよ。」といい行く。

「隼人、入るぞ」といい入る。すると「ハア」とため息をつく隼人。

「どうした。調子でも悪いのか」と聞く俺に、「なんでもない。どうしたの兄貴」というと、「お前の話をとことん聞いてやる」といい座り続けて。やっとこいつは俺に言葉を発する。

「別に兄貴の事、嫌いとかそういうのじゃないからさ。なに大丈夫だよ」というと、俺宿題あるからという。次の日の朝、あいつは行ってきますといい普段通り学校に行った。

俺は学校から呼び出された。隼人が来てないと言ってきたのでどこ行ってるんだと心配して探す。

見つけたときこいつは空き地でポツリと座ってた。隼人は「兄貴ゴメン」といい、「どうした」っと聞いてやる。すると、「兄貴、俺さ学校行きたくない」という。

どうしたんだっと聞くと、「俺、家があんな状態だからさ。希望の家にいるってこと言われたんだ」というと泣いた。こいつになんで言わなかったのかと責めてもこいつは優しいからな。だから言わないほうがいいと思い、「そっか」といい抱きしめてやる。「そしていつからというと3年の時からだよ」というから。一年も我慢してたなんて思わなかった。

「俺に掃除させたりとかさ、俺に嫌なこととか押し付けるんだ。

俺は先生とかにもいえないもん。言ったら言われてたことがばれるし、だから言えない」という。「そっか、だったら、しばらくの間休むか」といってやるが。「いい、今日これから行って謝ってくるよ。先生に心配かけちゃったから」というこいつに「今日はとにかく休め、いいからさ。」そして陽のレストランに連れていった。

「いらっしゃいませ」という陽に「ゴメン。急に訪ねてしまって」というと、陽は、「営業時間外だけど君は僕の友達だから」と言ってくれた。そして学校に電話をする。

「希望の家の狩場です。隼人見つかりましたので、明日から本人は行くといってます。」というと電話を切った。「ゴメン」と謝る隼人。「俺はいいよ。ところで隼人、お前は我慢しすぎだぞ。いったい何が、そこまでお前にそうさせてるんだ」という俺に、隼人は「僕よりつらい子いるし、中には愛されてるうえに両親に言えない子もいると思うんだ。だからね」という。「隼人覚えてるか。お前蓮が来たときに俺の身体のこと言って彩斗に怒られたの」と聞く。「うーんなんとなく。」「そっか。人の気持ちを考えるってのは難しいな。でも隼人は強いな。彩斗はちょっと身体の事とかあって沈着冷静な強さを持つけど、隼人は常に前向きな気持ちで俺や彩斗をあまり困らせないようにしてるというか俺や彩斗を助けてくれてるんだ」注文されたものが運ばれて来ると、陽は「隼人君って今ではこうして本当においしいものを注文してくれるようになったけど、子供の頃は彩斗君と一緒のものを食べてたね。本当に隼人君って満に似てる部分あるよ。人を困らせていけないと思って無理をするところとかね」という陽。

「だって僕の夢はSPになることだからさ。」「なんでSPになりたいの」って聞いてきた陽に隼人は答える。「俺さ、人に勝るものっていったら運動神経ぐらいだしさ、かっこいいんだもん」というと、陽は「ほら、だったら、たくさん食べな」という。

食べた後、「隼人は陽さんって昔どんな子だったの」という。

「俺ね、菊章男爵の息子だったんだよ。けっこうやんちゃやったなという。でも親が亡くなって、いろんなことがあったよ。

隼人君には説明できないこともいろいろやってたことあるし、でも満に、ある時会ってね。俺もしちゃいけないことを気付いた。このレストランでコックとして働けるようになったし、結婚して幸せな家庭を築いてるよ。子どもはほしいけどね。授かりものだしね。」という陽。

隼人は「そっか」という。

そして、俺は隼人の頭を撫ぜてやってると、陽は「思いだすね。猫の事、猫は隼人が今君がしてるみたいに君の事撫ぜてたね」という。

「懐かしいな」という俺。隼人は「猫ってお師匠さんのことだね」というと「ああーそうだな。お前と彩斗に話したよな」というとしばらく思い出に浸ってた。

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