第75話

俺の元に珍しい来客が来た。それは多紀さんだった。

入ってくると早速美空ちゃん、君のお母さんに手紙を預かってきたよ。もう施設も出て働きながらアパートで暮らしてる。お母さんね。とっても後悔してたんだ。それとお母さん病院から言われててもう手遅れで今の状態を維持だって。お母さんが自業自得だから言わないでと言われていたけど、娘さんだし伝えなきゃいけないと思って美咲ちゃんにも言っておいた。手紙を読んであげてというと、私はおっさんと二人で一緒に読んだ。美空へ。ごめんね。本当に。今までひどいことをしてきたから、会う勇気もない私を許してください。多紀さんから聞いたと思うけど、私は今自分で働いています。その中でお金を稼ぐのは大変だなって思います。でも、楽しいです。そういえば母さんが美空に言った事ややったことに関しては許せないと私でも思いました。それはアルコール依存症の施設に入って間もない頃の事でした。お酒が入った時自分がやった行動を職員が私の立場に立ちやっていました。職員がこんなことをやったのというと、驚かれたと同時に涙を流しながらもそれを行動としてやられたとき、本当に悲しいことをしたんだなと思った。そして一時退所が許されたとき、翔が教えてくれたの。公園で草食べてたんだ。美空ちゃん。私はこの時、こんなことをさせていたのと自分も行動したの。あなたと同じ行動を。私も翔が止めてくれるまで無我夢中で食べてた。私は美空と同じ立場に立ってみて思った。ゴメンね。本当に。たくさん美咲にもあなたにも謝らなきゃいけないのに自分では行けない。行く勇気がない。今日も来てくれることを願ってご飯作って待ってる。ずっとという手紙だった。私と美咲は手紙を見ると同時に母に会いたいと思った。そして療治が車を出してくれてアパートに向かった。

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