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第1話

「望(のんちゃん)、誕生日は何が欲しい」と聞くのは私の親。

私は運命がわかってるなら「お父さんとお母さんと一緒に居たい」といったのだろうか。

でもその時は「生クリームたっぷりのケーキが欲しい」と言った。

「なら、明日買いに行ってくるから」という両親。

そう、神様は残酷なのだ。

誕生日の日、「お母さんとお父さんが帰ってくるまでいい子にして待っててね。のんちゃん。行ってくるね」

というとケーキを買いに出て行った。そんな背中を見送った私。

その日、親は夕方になっても帰ってこないのだ。

近所のおじさんが玄関で「のんちゃん」というのだ。

かなり慌てていておじさんはこういった。

「のんちゃん。お父さんとお母さんが病院に運ばれたんだって。おじさんとおばさんが連れて行ってあげるから行こうか」とおばさんが一緒に車に乗ってくれた。

優しい親切なおばさんとおじさんで、お母さんとお父さんが「のんちゃん、何か困ったことがあったらこの人たちの所に行くんだよ」とよく言い聞かせてくれた。

病院に着くと、お父さんとお母さんが血だらけになって運ばれてた。

近所のおじさんとおばさんは説明を受けていた。

「お二人とも今夜が山です。我々も全力を尽くしましたが、何とも言えない状態です」とお医者さんは言った。

私はずっとお父さんとお母さんの手を握って励まし続けたが、次の日手が冷たくなった両親をみて、死んでいくということはこういうことなんだと思った。

そして両親は綺麗にされて病院から自宅に帰ってきた。

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