第324話

「何だ?嫌なのか?」



「嫌じゃないですけど……何か嫌です。」



「いや、だから嫌なんだろうが。」



噛み合っていない二人の会話を聞きながら、私はそこで立ち止まっていた。



そして不意に徠は口を開く。




「何か、二人に置いていかれたような気分って言ったらいいんですかね?」



「置いていかれた?」



「そうなんですよ、ほら……乃威は俺にとっていなくちゃいけない存在だし、真野は俺の初恋の人だし。」



「なるほど、な。」



「この高校に戻ってきてくれた時はすっげえ嬉しかったけど……、誰のものにもならなきゃよかったのに…、って思っちまうんです。」



「まあ、分からなくもない。」



二人の会話はちょっと自分にとっても、寂しかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る