第54話

「では、また後で来ますね。」



そう人懐っこい笑顔で言った彼に、愛想笑いではあったけどアタシも笑う。




……複雑な気分。




特に何もしていないけど、一人も僕のことを男だとわかってくれなかったことに落胆してしまう。



一人くらい、分かってくれてもいいのに。




そう思うけど、まあ任務のためだから、仕方ないか。



そう思ってしまう自分がいて、僕はとりあえず顔をあげる。



ここでこうしているうちにも、時間は刻一刻と押している。



一室に押し入れられてしまったけど、とりあえず今はここからバレないように出なきゃ。



僕のもう一つ課された任務のために。





着物を着ていたので、その重い着物の裾を持ち上げて僕はここから出るための襖に近づく。

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