第176話

「お、おおおお、落ち着いてください!いい気になってないです!むしろ、戸惑ってます!!」



「……だろうな。」



……え?



その言葉が返ってくるなんて思ってもいなかったから、そう思ってしまう。



声に出すのを我慢して、私は目を丸くして玲衣さんを見つめる。



だって、嫌味の一つでも返ってくるものだと思っていたのに、何で?




そう言った後に、玲衣さんは私の胸倉を離して、自分の座っていた定位置に座りなおす。



私はそんな彼を茫然と見つめていると、私に気づいたのか溜息混じりに言葉を紡ぐ。



「ここにお前を連れてきたのは、あの緊迫した場所にいるのが嫌だっただけだ。真野を心配したとかじゃないから。……勘違いするな。」

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