第94話

「うん、私も思った。」



だから、そう頷く。



少しの間だけ沈黙が走ったけど、何かを特に気にするわけでもなく臣はまた口を開く。




「最初はお前に同情しているのかと思ってたんだけど……、次第に他の男とお前が喋っているのが気に入らなくて、それが“恋”だって気づいたんだ。」



そう言うけど、きっとそれは恋じゃないと私は思っていたけど……でも臣はそうじゃなかった。



私は臣の気持ちを分かっていると思っていながらも、本当は分かっていなかった。




「でも、愛し方を知らない俺はどうしたらいいのか分からなかったんだ。親に愛されたこともない、友達に愛されたこともない俺に……愛し方なんて分からなかった。」



その切ない言葉に、どうしても涙があふれ出てくる。

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