第75話

悲しいあなたを見るのが嫌で、傍にいた。




でも、私があなたに同情しなければ、あんな悲惨なことは起きなかったのかもしれない。






嫌な、記憶。



震えている手を抑えながら、必死にカラスさんに伝えないようにずっと陰で汗を流していた。



旅館に着くまでずっと、私は“私”でいられるようにと祈りつつ、自分の手を握っていた。

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