第105話
錦と双子に聞くと、未だに頭を下げていた双子が勢いよく顔をあげた。
「ユウジと桃里のなら知ってる!」
「俺も!」
「僕も。會田くんたちじゃなきゃアカンの?今日、會田くんの誕生日やから、今頃一緒におるんと思うで。」
『大吉、スマホ貸して!』
モールでユウジと壱が、選べなかったとか麟太郎が喜ぶとか言っていたのは誕生日プレゼントでも買っていたのだろうか。
大吉のズボンからスマホを抜き取り、ロック解除してユウジの番号をタップして耳に当てた。
「え、なんでロック……」
『指の動きで分かる。』
「「こわ……」」
「はい、もしもし。」
数コール後、ガヤガヤと騒がしい声が聞こえて驚いたユウジの声が聞こえた。
『ユウジ?』
「ん?……もしかして、紺くん?」
『よく分かったな。誕生日会?してんのか?楽しんでいるところ悪いんだが、麟太郎と替わってくれるか?』
「うん、そうなんだ。あ!紺くんも祝ってやってよ。紺くんからならすごく喜ぶと思うんだ。」
『よ、喜ぶ……?』
「うん!ちょっと待っててー。」
ユウジが麟太郎を呼ぶ声が小さく聞こえる。
桃里と壱の声もする。
「なんだ。」
『あ、おめでとうございます……?』
「フッ……わざわざそれを言う為に連絡したのか?」
え、これ喜んでる?ユウジくんよ。
馬鹿にしたように鼻で笑われたんですけど。
『ちげーよ。お前の親父、僕のこと探ってるでしょ。』
「お前のことを随分気に入ってたからな。気にはしてたが……なんだ?」
『伝言頼んでいいか?……男子高校生を尾行するご趣味に僕を巻き込まないでください、って!頼んだよ。』
「は?おいっ、どういうこ」
『それじゃ。よろしくー。』
強制的に通話を切り、折り返しかかってきても放置した。
大吉にスマホを返すと、強ばった顔でスマホの画面を私の目の前に突きつける。
「俺の番号にめっちゃ知らない番号から来るんだけどーっ!!」
『友達増えたね。良かったなっ!お礼はクレープでいいぞ!イチゴバナナホイップ!』
「バナナチョコカスタードホイップ!」
「チキンサラダクレープ!」
「おいぃぃっ!!良くもねぇし!奢らねぇし!便乗すんなそこの二人ぃっ!!!」
「俺も若と同じものがいいです。」
「……獅子さぁん!」
獅子さんの最後の一撃で大吉は撃沈した。
早速明日は帰り道にクレープだな。
「若、尾行相手を特定していたんですか?」
『モールの化粧品エリアで浮いてた厳つい顔。麟太郎の家に行った時、事務所に同じ顔の奴がいたから覚えてた。』
「は!?あんなたくさん人いて顔覚えてたのかよ!!」
『僕、一度見たものは忘れないんだよね。ここの組員も全員顔と名前覚えてる。記憶力はいいんだっ!』
「「えー……」」
「チートやなぁ。」
「さすが若です。しかし、會田ですか……。」
獅子さんは腕を組んで何が考え込んでから私に一礼して部屋を出ていった。
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