第71話

転校三日目。

昨日も一昨日も色々あったなーと肩をほぐしながら三人で登校していた朝。



『サイドの刈り上げ、意外とかっこいいじゃん。』



「光さんがやってくれたんだぜ!」



「親父がすっげぇキレてたけどね。」



みくじさんは全部剃りたかったんだろうなぁ。

諭吉の刈り上げられた片サイドをジョリジョリと撫でると、汗がついた。

少しだけ涼しそうだ。



「おは……諭吉くんっ!?」



「「『錦はよー。』」」



「ど、どないしたん?それ……大ちゃん眼鏡は?え、紺ちゃんなに?」



スマホ片手に私たちを見つけて声をかけた錦に諭吉の汗がついた手を錦の服に擦り付ける。

錦はキャパオーバーだとばかりにあたふたしている。



『諭吉の汗だよ。』



「えー!ちょーやめてや。」



「んだと!?」



「紺、諭吉やめなさい。錦をいじめるな!」



「俺!?」



錦に刈り上げられたことや眼鏡が壊れた夜中の話をすると、話題は昨日の話になった。



「桃里は昨日僕んちにお泊まりしたで。ショック受け取ってな。朝起きたら書き置き残していなくなっとった。會田くんの所に行ったんかなぁ?」



「ユウジは髑髏の連中を手当てして、會田兄弟が運ばれた病院に行くって言ってたよ。」



「桃里が心配や。僕にできることあるかって聞いたんやけど、桃里は大丈夫しか言わん。」



昨日の光くんの言葉を思い出して、燦々と照りつける太陽を見上げる。



『あの二人、似てないよなぁ。』



ああまで血の繋がった兄弟を殺したいほど憎くなる出来事はなんだろう。

同じ親を持つはずなのに、“人殺しの血”と言った。

まるで自分は違うと言うように。



「會田くんと壱沙いっさくんって血ぃ繋がってないで。」



『そうなの?壱って壱沙って名前だったんだな。でも兄弟って、』



「會田くんの親……會田組の組長が壱沙くんを引き取って養子にしたんや。」



「そうなの!?あー……だから壱沙が兄貴なのに、會田の若頭は麟太郎なんだ。」



錦はたしか情報屋的なものをしていると前に聞いたな。

だから双子が知らないことを知っているのか。



『桃里も會田組の関係者?』



「いいや、桃里は一般家庭の子……かな。」



含みのある諭吉の言い方が引っ掛かるが、自分の口から言っていいものかと迷っている。

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